衛星画像を利用した小麦成熟早晩のマップの作成株式会社ズコーシャ
SPOT衛星画像

© Airbus DS/Spot Image 2017

衛星画像を使用したソリューションの概要

北海道の大規模畑作地帯では、小麦、てんさい、バレイショ、豆類などが作付けされています。特に小麦は作付全体の約4割を占めており、現在は、麺類に使用される「きたほなみ」、パン用に使用される「ゆめちから」が主要な品種です。これらは、7月下旬~8月上旬のわずか10日程度の短期間で大型コンバインによって収穫されます。 大型コンバインは、地域で共同利用するケースが多く、小麦の成熟が早い畑から収穫することが重要です。本システムが導入される前は各生産者が圃場を巡回して収穫順を決定していました。しかし、多数の圃場の小麦早晩を目視確認するには労力を要し、同じ尺度での評価が困難でした。これらの課題を解決するために、2002~2004年に先端技術を活用した農林水産研究高度化事業(農林水産省)により、ホクシン(現栽培品種 「きたほなみ」の前身)を対象とし、衛星画像を利用した小麦収穫システムを北海道農業試験研究センターが中心となって開発、弊社が2005年よりマップ提供サービスとして北海道内の各JAにマップを提供しています。

衛星画像を使用された理由

近年ドローンによるセンシングも多くなっていますが、北海道の大規模畑作地帯では、1市町村だけで5000~6000haの小麦栽培面積があり、ドローンセンシングだけで、情報を収集するのは現実的ではありません。一方、衛星画像は一度に広い範囲の情報を把握することができ、 北海道内の市町村やJAで、地域の情報提供として有用な手段です。また、撮影時期については、収穫から約2~3週前の画像を利用すると、衛星画像と小麦成熟の関係性が精度よく推定できることから、毎年この時期(7月上旬~中旬)に新規撮影をリクエストしています。衛星画像は近年多種多様なものがありますが、解像度、コスト、画像配信日数、を考慮し、比較的低コストで高分解能な SPOT-6/7 衛星の画像(解像度: マルチスペクトル 6m)を使用しています(開発当時は SPOT2,4号:解像度20m SPOT5号:解像度10m)。

効果(採用前の課題と、採用後の効果)

これまでは各生産者が圃場を巡回して収穫順を決定していました。しかし、前述したとおり、多数の圃場の小麦早晩を目視確認するには労力を要し、同じ尺度での評価が困難であることから、成熟前の早期収穫、収穫遅れによる品質の低下が問題となっていました。本サービスでは、衛星画像を撮影し、画像内の小麦圃場を抽出し、小麦の成熟早晩を判定します。さらに、刈り取り順番を視覚的に表現したマップ(図1)を作成し、JAや営農者に提供します。

図 小麦収穫マップの作成

導入の効果としては、1.刈り取り順の客観的な評価、2.小麦刈り取り計画の効率化、3.収穫小麦の低水分、均一化による乾燥コストの削減、4.刈り遅れによる穂発芽リスクの低減 などがあげられます。

今後の展望など

近年、北海道内で栽培面積が多い「ゆめちから」についても、衛星画像から小麦の収穫順を把握する手法を開発し、サービスを提供する予定です。

会社紹介 株式会社ズコーシャ

株式会社ズコーシャは、北海道を中心とした「農業・環境・まちづくり」にフォーカスした総合コンサルタントです。研究・調査・計画から測量・設計までの一貫したサービス提供と、各種試験や評価、診断、補償、IT等の専門ノウハウを網羅した組織が、総合コンサルタントである当社の特徴です。

農業情報の提供サービスとして、今回ご紹介した「衛星画像を利用した小麦収穫システム」のほか、「ドローン画像を利用した可変施肥マップ」もあり、道内のJA、農業者に対して事業化をすでに行っています。また、代理店でありながら、販売にとどまらず自ら画像解析を行う技術も持っており、衛星画像を利用した商品開発も積極的に行っています。